人間回復の要求とコミュニティ 7
ドイツの有名な哲学者だったハイデッガーは、利益社会化の進んだ現代社会を見て、私の非常に好きな言葉ですが、人間の「故郷喪失」(ハイマートロージヒカイト)といいました。
人間が自らのふるさとを失った状態だというわけです。
しかし、人はこんな状況のままでいることはできないはずです。
やがて「故郷回復」の動きが起こるはずであり、現に起こっています。
コミュニティの回復運動はそうした動きを示すものといってよいでしょう。
利益社会化した現代社会のなかで、人間的な交わりを回復しようとする動きの、少なくとも一つの現われです。
コミュニティ回復運動は、しかし、それだけから生まれたわけではありません。
直接的には、むしろ、いわゆる「福祉国家」の行きづまりと関係があります。
「福祉国家」が行きづまって「福祉社会」という方向が模索されてきています。
その「福祉社会」の実現に決定的になるのはコミュニティの形成です。
コミュニティをつくり、ボランティア活動を助成していくことが、とりわけ重要になってきます。
コミュニティは人間的な関係を回復していくうえに決定的に重要となるだけではありません。
財政的な理由から行きづまった福祉国家に代わって、福祉社会を建設していくうえにおいても、決定的に重要になってきます。